旧関税法は同法所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等が被告人以外の第三者の所有する場合においてもこれを没収する旨を規定し、その所有者たる第三者に対して、告知、弁解、防御の機会を与えるべきことを定めていない。
当該没収規定に基づいて第三者所有物を没収することは、憲法31条に違反するとするのが第三者所有物没収事件の判例である。
行政手続きは刑事手続きとその性質において差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であって、憲法31条の定める法定手続きの保障は行政手続きには及ぶが、行政処分の相手方に常に事前の告知、弁解、防御の機会を与えなくても違憲ではないとするのが成田新法事件の判例である。
刑事事件について迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる異常な事態が生じた場合に、これに対処すべき具体的規定がないときには、憲法37条1項を根拠に被告人を救済することができるとするのが高田事件の判例である。
捜査機関が被疑者を抑留または拘禁しようとする場合には、抑留または拘禁の理由を直ちに告げるほか、直ちに弁護人に依頼する権利を与えなければならない。
憲法39条の一時不再理の原則は、何人も同じ犯行について2度以上の罪の有無に関する危険にさらされるべきではないという根本思想に基づくものであるが、下級審の無罪判決に対して検察官が有罪判決を求めて上訴することは、被告人を二重の危険にさらすものではなく、憲法39条に反しないとするのが判例である。